笠岡市は財政健全化プランを策定し、4月1日から新年度予算によるサービスをスタートさせました。その影響で廃止された事業も少なくありません。その現状について私なりにレポートさせていただき、島の現状を知っていただければ幸いです。
先の財政健全化プランで廃止が決まり、令和7年度予算で廃止が採択されました。
この事業は、これまで25年ずっと続いている事業でした。
25年前、この事業の発端は、飛島の特殊事情がありました。
飛島には、商店・食堂がありません。そんな中で、地域のご婦人たちが週2回弁当作りを行って島内の高齢者の「食」の確保と配達による見守りをするという趣旨の事業です。
4月1日の給食サービスの数は25個。週2回・火曜日と金曜日にスタッフ3名で飛島公民館の調理室で調理しています。前日笠岡へ仕入れに行って、当日朝から調理をして、9時30分の六島行きの定期船に積み込んで六島へも送っています。(六島も島内に商店がありません。)
この事業ですが、事業費年間1,119,000円(委託料1人あたり月3万円)原材料費は実費。弁当は400円で削減理由は「対象者が限定的であることから、地域に委ねることとし、廃止する」となっています。
飛島で決められたことを外部からとやかくいうのは違うとは思いますが、島内及びそのサービスを受けている人の声ではなく、それを協議するのが利用していない人が決めていないか?ということです。とかく、自分自身が関わっていることについては思い入れがあるので力が入るものです・・。
これからの島の「食」のサポートについてです。現在のようにどことも過疎高齢化が進んでいる中で島の利用者が減ってくるのは当たりまえのことと言えます。そこで、航路のある隣の島で需要が見込まれるのであれば当然サービスを拡大することにより要望にこたえられるのであればなおさらです。このあたりを「削減」が目当てとなっており、島内需要が減ることによりこのサービスは「限定的」と捉えること自体がナンセンスではないかと思います。
今回は「弁当」と一緒に、隣の六島へもその声をお聞きするために行ってみました。


8時50分に飛島・六島行きに乗船し、飛島の給食サービスの現状を取材する予定でした。
しかし、弁当が出来上がって六島に届けられるのはと冷静に考えると、8時50分の笠岡発のこの便が飛島で9時30分に弁当を積んで9時50分に六島に届けられる。
すぐに、行先を六島に変更し、飛島からの積み込みの様子、弁当と共に六島へ、六島の受取、配達の様子や声をお聞きするためには六島行きで9時50分から折り返しの10時15分の間に六島で取材をして、折り返しで飛島へ下船して、大飛島の弁当サービスの取材をすることに。

飛島の弁当サービスのリーダーは山河菊野さん(通称菊ちゃん)大飛島の洲の港の綱とり切符の販売も委託されています。この日も、菊ちゃんが港で六島行きの弁当を持って定期船の綱とりです。
子供たちが多いのはフリースクール「育海」の子どもたちです。新年度を迎えて5人が新しく離島留学をはじめ、3人は継続とのことです。



大飛島の港で弁当が船に積み込まれて六島へ「前浦港」で六島の配達担当の「敏っさん」が受け取ります。前浦の広場に着くまでの間、広場で全ての弁当が配り終えられます。その時間約5分。配達と言うより受け取る人が浜へ降りてくるパターンです。


港で元町内会長ご夫婦、途中で観光協会長兄弟、漁師家族、ほか約10名の方々が利用されています。
前浦の港にはいつになく子供たちがたむろっています。春休みということで島出身の方のお孫さんが沢山帰省されているとのことでした。
六島で2名の方にインタビュー
「三宅正治さん」
今では体調不良で草刈り作業は出来ませんが、草刈り作業をするときは昼を作る時間もなく本当に助かっていました。勿論、今もです。

「中尾けい子さん」
継続する事は大変な苦労があるとは思いますが、本当に助かっています。船券の削減やいろいろな島のサービスが削減されているので生活に不安を感じる。

公民館へも行ってみました。丁度この日は、月2回の愛らんど事業が開催されていました。財政健全化後の新年度初の愛らんど事業ということで、社協の担当者2名と長寿支援課からも2名が参加されていました。(現状視察なら削減の前に現状把握してから削減するのが本来と考えますが・・。)

六島発10:15の便で折り返し、大飛島へ
そして、担い手として弁当づKりを行ている婦人会長の山河菊野さんにお話をお伺いしました。

今日は25食作りました。毎週火・金に弁当サービスを行っていて、火曜日が魚で・金曜日が肉にしています。1食400円です。今日は育海(はぐくみ)フリースクール新学期初めての弁当なのでお祝いの意味を込めて赤飯とエビを入れています。
商店も食堂もない飛島や六島の高齢者のためにこれまで25年間続けてきたので、これからも実費で出来る限り続けていきたいと思っています。

この取り組みは単に地域の弁当サービスに留まらない。25年間毎週2回の弁当サービスを続けるという地域の想いを機械的な財政県健全化で削除し、年間100万の予算を削減するということが、これからいよいよ高齢化の激しくなる島においてどれほど大きなことかを考えて欲しい。そして、予算が削減されても引き続きやるという決意の意味も併せて。島において、商店や食堂の無い地域の「食の確保」はこんな方々の善意に支えられている。
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