6月議会 栗尾市長所信表明演説

議会関係

所信表明
本日、令和6 年6 月定例会が開催されるにあたり、私の市長就任後、初めて
の市政運営について所信表明の機会を与えていただきまして、誠にありがと
うございます。
4 月24 日に市長に就任し、改めてその職責の重さを痛感しております。初の
女性市長となり、笠岡に新しい風を吹かせて欲しいという皆様からの期待の
大きさに身の引き締まる思いでいます。
私にとっては、市政運営は初めてですが、笠岡市議会議員として得た経験と
これまでの人生経験を大切に活かし、これから、市民の皆さまの幸せのため、
笠岡市の発展のために全力を尽くしてまいります。どうか議員の皆さま並び
に市民の皆さまのご理解とご協力をよろしくお願い致します。
先般の報道でもありましたが、2050 年までに子どもを産む中心の世代とな
る20 歳から30 歳の女性が半数以下となる「消滅可能性自治体」として笠岡
市が挙げられています。現在、笠岡市の人口は4 万5 千人を切っています。
2030 年には4 万人を切り、2040 年には3 万2千人、2050 年には2万5千人
になると予測されています。消滅可能性自治体という言葉が先走り、不安な
声を聴くわけですが、笠岡市だけの生き残りを考えることは困難だと考えま
す。限られた人口の取り合いをするのではなく、広域連携を強化する中で、
全国的な問題にしっかりと向き合いたいと思います。未来に責任のとれる行
動をする必要があります。地に足をつけ、基盤を整えていかなければなりま
せん。現実に向き合い、次の世代のためにも充実した市民サービスを維持す
るための仕組みづくりに取り組みます。
基本的に、行政は利益の追求ではなく、市民の幸せの追求です。地域を通し
て見えてくる、すこやかな暮らしと人との結びつきが大切であると考えます。
私の目指す笠岡市は「笠岡に暮らす私たち市民が笠岡に愛着を持ち、笠岡に
暮らしてよかったと思えるまち」です。これまで先人が築いてきた笠岡市の
歴史や文化、伝統を大切に引き継ぐとともに笠岡市の新しい時代をつくって
いきたいと思います。家族の形態の変化や生き方の多様化などの現実を見逃
すことなく、育児や介護、非正規雇用など女性の観点からも重要な問題にし
っかりと向き合い、生活者の目線で市政に取り組みます。
市政に対する基本姿勢について3 点申し上げます。
一つ目は「対話」です。
まちづくりや市の課題解決の場面では、私や市の職員で出来ることは限ら
れています。市民の皆様の意見を聴く機会を持ち、市政に反映していきます。
「市長との座談会」を開催し、それぞれの地域や各団体の皆さまとの対話を
心掛け、市民の皆様に開かれた透明性のある市政を目指します。
二つ目は「調和」です。
これまで続いてきた市政に対し敬意をもっています。行政の継続性を大切
にしながら、たとえ対立する議論になったとしても、様々な考えや意見に耳
を傾むけ、公平、公正な判断基準のなかで調和をはかります。また、快適な
生活環境を保全するために、美しい景観や自然環境と調和したまちづくりも
すすめます。
三つめは「連携」です。
人の流れ、モノの流れは笠岡市だけで完結するものではありません。近隣
市町村、県、国と信頼関係を築き、しっかりと連携していきます。互いの地
域の良さを認め、そのうえで笠岡市からの積極的な情報発信を行います。ま
た、笠岡市と関係が深い産業界や大学などとも連携し、地域の魅力を発掘し
ていきます。
次に、個別の施策です。
まず1 つ目の柱
「暮らしをささえる」では
『全市民の移動手段の確保』『事業者の育成と継承』『認知症の早期発見の
仕組みづくり』『障がい者雇用全力サポート』に取り組んで参ります。
この中でも最重要施策は「全市民の移動手段の確保」です。公共交通の見
直しに着手し、全市民が安心して使える移動手段を確保したいと考えてい
ます。地域によっては、運転手不足などで路線バスが減便され、市民の通
勤に支障が出始めています。しっかりと事業者と協議をしながら、予約制
の乗り合いタクシーの導入を含めた公共交通全体の見直しに着手します。
次に二つ目の柱
「まちを整える」では
『臭気対策』『宅地開発と企業誘致』『害獣対策強化』『市民病院の建替え』
に取り組んで参ります。
この中でも最も重要な課題として取り組みたいのは、笠岡湾干拓地の臭気
問題です。この課題は、市民からの期待も大きく、なんとしてでも取り組
んでいかなければなりません。長期的なハード対策と短期的なソフト対策
の合わせ技で、出来ることは何でもやっていく覚悟で取り組んでいく必要
があると考えています。防風林の設置や排水処理対策、さらなる循環型施
設の誘致など、職員や民間から寄せられるあらゆるアイデアや可能性を排
除せず検討していきます。併せて短期的には、畜産事業者との対話だけで
なく、畜産業に対する市民の理解の醸成を図る施策を展開していきます。
このためにも、まずは庁内に部局横断的な対策チームを編成し、ロードマ
ップを示したいと思います。
そして三つ目の柱
「子どもをまもる」では『4つの無償化』『学校再編の見直し』『常勤産婦人
科医の確保』『就学前教育・保育施設の見直し』に取り組んで参ります。
このうち最優先事項として、『四つの無償化』すなわち放課後児童クラブ費、
学校給食費、高校生までの医療費、二人目以降の保育料の無償化をめざしま
す。特に放課後児童クラブについては仕組みややり方の見直しを含めた支援
体制を強化することから始めます。全ての子どもに寄り添い、きめ細やかな
サポートをしていきます。
しかしながら、こうした施策を一気に実現できるとは思っていません。市民
生活の基盤であるごみ処理場の建設や市民病院の建替えなど、大型事業が続
く中、物価高騰や労働単価の上昇が笠岡市の財政に大きくのしかかっていま
す。
市長に就任し1 か月と10 日ほどがたち分かったことは、笠岡市の財政状況が
かなり厳しいということです。これは私の予想以上でした。特に本年度は非
常に厳しい状態です。身動きがとれないくらい膨れすぎたイベント・事業・
補助金を全て洗い出し、精査しスクラップして適正な規模にしなければなり
ません。また、ダブル行政と言われる各地域の仕組みを解消するための機構
改革も必要です。さらに,公共施設の老朽化に伴う維持修繕コストは,今後
深刻な財政負担を生じさせる見込みとなっております。そして,廃園・廃校
後の施設の対応は現在喫緊で判断しなければならない課題となっております。
多額の税金を投入して維持していくのかどうするのか、判断を迫られる時期
に来ています。持続可能な行財政運営のための改革をしていかなければなり
ません。その結果出てくるいかなる批判も全て私が引き受ける覚悟を決めた
次第です。市民や議会、職員の想いも聞きながら、事業の必要性を検証し、
見直ししていきたいと思います。笠岡駅南口や一体型小中一貫教育校の建設
などの大型事業については、長期的なビジョンをもって優先順位を付けて対
応していきたいと考えています。
今年はロードマップの提示や財源について検討し、議会とも十分に論議を尽
くしながら各種施策を展開していきたいと思います。
以上を実践していくために、市役所職員がカギとなります。職員が実力を発
揮できる環境を整え、施策の最終責任を持つのが市長の役目です。施策を企
画・実行する職員を取り巻く環境の改善を行い、ボトムアップで多様な意見
を尊重できる風通しの良い職場にしたいと思います。また、公約で掲げた市
長退職金の見直しについてもどのような方法で見直しの検討に入るのかを含
めて進めてまいります。
市議会の皆様におかれましては、皆様それぞれの得意分野や地域の課題をお
持ちのことと思います。一般質問や委員会での質問は、その内容だけでなく
質問する時期でも市政を大きく左右するときがあります。それゆえ議員の皆
様の言葉一つひとつは非常に重いと認識しています。議員の皆さまと出来る
限り情報共有を心掛け、丁寧な議論をするように努めてまいります。議員の
皆さまには今のお立場からの政策提言や行政と建設的な議論ができる関係づ
くりを心から期待しております。
笠岡市には市民の為や、ご自身の楽しみのために精力的に活動されている方
もたくさんいらっしゃいます。まちづくりの主役は市民です。お一人おひと
りの力を合わせれば大きな力になります。
繰り返しになりますが、笠岡市の財政状況は非常に厳しいです。聞く耳を持
ち、市民と議会と職員が共に手を携えて「対話と調和と連携」を重視した行
政により、この大変な時期を乗り越え、笠岡市が少しでも良くなるように前
へ進めたいと思います。どうか市民の皆さま、市議会議員の皆さま、お力と
お知恵をお貸しください。
最後になりますが、穏やかでおもいやりに満ちた笠岡市の実現のために、市
民の皆様に寄り添って一緒に歩んでいきたいと思います。一生懸命頑張りま
す。どうぞよろしくお願いします。
以上就任にあたっての所信といたします。
最後までお聞きいただきありがとうございました。

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